2010年9月2日木曜日

庭と王様とおっさんと

実家の庭は、私のちょっとした自慢だ。
両親が苦心しながらも世話し続けてきた庭。
今でこそ木々が風にそよぐ良い庭だけど、
我が愛犬がまだ若くやんちゃくちゃ坊主だったころは、
彼がガシガシ走り回るおかげでせっかく手入れした芝生がごっそり抜けてしまい、
もう何年も前に青い芝生の茂る庭はあきらめるはめになった。
庭をわがもの顔で悠々と歩きまわり、
木陰を探して、おもむろにバタムッと横になる。
緑多い茂る庭に寝そべるその姿から、
いつしか彼は「森の王様」と呼ばれるようになった。
水が体にかかるのが大嫌いな彼は、
庭に水をまき始めるとあからさまに嫌そうな顔をして、
じっ・・・とこちらをにらみつける。
家族内の上下関係を把握していた彼は、
末っ子の私に対しては「ちょっとやめてくんない・・・?」
とぶすりとした表情を見せてきた。
ムッとした私はわざとホースで水をひっかけてやったものだ。
や~いや~いと、まるで兄妹のように。
そう、兄妹。姉弟ではなく。

今ではぽつりと水やりをする。
や~いや~いと水をかけられるのにうんざりした彼は、
数年前に私たち家族の心の中に住まいを移した。
今頃、彼の弟子だったちび犬君と一緒に、
おっさん姿の私をあのバカにした目で見てるんだろうな。
ちっ。

まだまだ残暑厳しい。
蚊がワラワラと群がってくるので、
庭に出るときは養蜂家みたいなネット付きの帽子をかぶる。
正直、この姿は笑える。
帽子部分が小さいもんだから、ポサッと頭に乗せただけ。
蚊の羽音に顔を振ろうもんならすぐずれ落ちてくる。
汚れるから作業服も着てるし、おっさん確定。
ご近所さんが通ってもかまうめぇ。
悠然と庭仕事。
家の中で姉大爆笑。
おっさんですけどなにか。文句は群がる蚊に言っとくれ。


子どもたちがワ―キャー外で遊ぶのを尻目に、
蚊との闘いに一人ワ―キャー言いながら、
照りつけた太陽でからっからになった庭の緑たちに、
今日も大量の水を捧げたのでありました。

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